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僕はまだ、気持ちを抑えて生きれるほど 大人じゃない。
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1993/09/24
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初めまして。Yuriと申す者です。変な所があったとしても大目に見て下さい。
んで。。僕の詩は『ぼくのうた』と読んでくれると嬉しいです♪♪

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2007/11/10 (Sat)
=新章<第一話>~光の兆し~=

(さよなら…)

(しぃーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!)

バッ!

オレは慌てて起き上がった。

「夢…か……」

ここはオレの部屋。今はベッドの上に上半身だけ起こしたような状態だ。

決して大きくも小さくもなく、ベッドにテレビ、本棚と机だけがある、ごく普
通のシンプルな部屋である。

「いや…夢じゃない。あれは……全部事実なんだよな………」

額に手をあて、眼から何故か涙がこぼれる。いや、理由はわかってる。

オレは眼を隠すように額に手をあてたまま、またベッドに寝そべり、悲しみに
暮れていた。学校にも、もう何日も言ってない。

「しぃ、オレはまだ罪を…償いきれてないよな。どうすれば…どうすれば償いきれる?死か?それとも別の何か……?わからねぇ…教えてくれよ…しぃ…」

ピンポーーーン。

家のベルが鳴った。父さんも母さんもいないからオレが出なきゃならない。でも、何もする気にならない。動くのもだるい。

「ギコーーー! お前何日学校来てないのかわかってんのかーーー!?」

窓から飛び込んできたのはフサの声だった。

「ともかく入るからな!!」

ガチャッ

玄関のドアが開いた音がした。そういえば鍵をしてなかったような気もする。

カツカツと階段を上がってくる足音がする。

カチャッ

今度はオレの部屋のドアが開く音。

「いるなら返事くらいしろよ…」

フーと息を吹き出して机の椅子に腰を下ろした。

「ギコ…お前何やってんだよ」

「………」

「眼ぇ覚ませよ…」

「眼は覚めてる。だからこそ…辛いんだよ…」

「……そうだよな。わかってるさ……でも、親友なんだからお前の力になりたいんだよ」

「あぁ…お前には何度も励ましてもらってる。感謝してるさ。でも……」

「こればっかりは…親友にも…どうにもできないか…?」

「…………」

何分間か沈黙が続いた。そして、沈黙をやぶったのはフサの携帯の音だった。

フサの好きそうな音楽の着信音が鳴り響く。

(ったく、こんな時に……)

フサがオレを横目に電話を取った。

「何だ」

電話は兄者からだった。

「大変だフサ!! 大事な話がある!!! >>1とおにぎりはもう来てる!! コアの前にギコを連れて来い!! 今すぐだ!!!」

キーーーーーン! 

耳鳴りがなる程、オレにも声が聞こえる程大声だった。

「大声で叫ぶな! 鼓膜が破れるだろ! …ったく。で? 何が大変なんだよ?」

「詳しくは後だ! わかったな!?」

プッ、ツーツーツー……

「切りやがった…ま、あんな大声だったんだ。聞こえたよな?行くぞ」

「オレは行かない。行く気になれない……」

「いいから来い!」

そういうとフサはオレの手を引っ張って連れて行った。

「おい! 離せ! オレは行かねぇ!」

「……」

「無視かよゴルァ! 離せ!」

フサはオレの言葉には聞く耳も持たず、無理矢理引きずっていった。そしてみんなの所に到着した。

「待たせたな」

「あぁ。待ったぞ」

そこには弟者と妹者はいなかった。兄者、≫1とおにぎり、それと、

「!? サザン!」

と驚くオレ。

「久しぶりだな」

「こっちに来てたのか……」

「あぁ。あのサーバーも壊れたからな。元気してたか?」

「………」

「あれ?」

フサが間を割って、

「実はな…」

フサはしぃの事をサザンに話した。オレは、その話は聞きたくなかったから、少し離れた場所にいた。

「そうか…そんな事が……」

「あぁ……」

兄者が音が鳴るように手を叩き、こう言った。

「とりあえず本題に入ろう。今日は何の話で呼んだんだ?」

フサは目を丸くした。

「あれ? お前まだ聞いてないのか?」

「当たり前だろう?」

「いや、だってさっき…」

「あぁ、あれか。ああ言えばお前らすぐ来ると思ってな」

これには>>1とおにぎりもビックリして、

「え!? そうだったの!?」

「ひどいよ兄者!」

フサはあきれて言った。

「なんだ? お前らもか?」

兄者が眼を光らせて、

「全員さ。くっくっく…」

バカみたいに笑う。

「くっくっくじゃねぇよバカ! …まぁ、んなことどうでもいい。サザン」

「あぁ。今日みんなを呼んだのはな、大事な話があるからなんだ」

みんながゴクリとかたずを飲んだ。

「単刀直入に言おう。NIGHTMARE CITYは…消えてない。一部分だけが残ってるんだ」

「何!?」

全員が驚いた。

おにぎり、兄者、>>1、フサが順に、

「どうして…!?」

「戦いは終わったはずじゃ…」

「まままままさか、あいつまで残ってないよね!?」

「ちゃんと説明してくれ」

サザンが軽く頷いた。

「兄者、ナイトメアプログラムが存在しないとなると、街を救う方法は一つに絞られるよな?」

「あ、あぁ。管理AIを全員倒す。これしか残らない」

「そうだ。そして君達はそれをやってのけた。……のように思えた」

「違うのか?」

「管理AI全員が死ねばいい訳じゃない、全員を君達の手によって倒さなきゃいけないんだ」

「つまり……必ずこっちの住人が止めを刺さなきゃならないっていう事?」

「正解だ。そして管理AIは全員で8人。モララー、モナーにつー、8頭身が三人、そしてしぃ。モララーはギコが」

「つーは、妹者が」

「モナーは、あっちで避難してたこっちの奴らが」

「8頭身はレモナさん達が」

「そう。そしてお前らが手を下してないのは誰か。ギコ、・・わかるよな?」

「しぃ…」

「そうだ。だからしぃが死んだとこだけが残っている。そこで死んだ管理AIと共に」

オレは耳を疑った。信じられず、もう一度聞き返した。

「…なんだと? 今……今何て言った!?」

「わからなかっなら簡単に言おう。しぃは生きている。そう言ったんだ」

「しぃが…生きてる……?」

オレは涙を流した。最近は涙脆くてだめだ。あいつの事となると何かと泣いちまう。

「あいつが…生きてるんだな……?もう1度…あいつに…会えるんだな…?」

「そうだ。そしてこれからはずっと会える。聞いた話によるとしぃにも人間の姿があるとか。ならしぃもこっちに連れて来ればいいだけだ」

「そうか…そうか……!!」

拳を強く握って喜んだ。夢だとしても、覚めない自信があった。オレはしぃに言わなきゃいけない事があるから。守れなかった事を謝って、言わなきゃいけない。“オレも大好きだ”って…


<第二話>~再会の意外な結末~

フサがギコに向かって言った。

「ギコ、行くんだろう?」

「あぁ、もちろん!」

(ちっ、こいついきなり元気になりやがって……なによりだ)

オレはこの時フサが小さく笑ったように見えた。

「よし! なら行くのはお前一人だ!」

「へ?? なんで??」

兄者があきれたように、

「当たり前だろう? 俺達は二度とあんな場所行きたくないんだよ」

おにぎり&>>1が声を揃えて、

「同感」

二度ほど頷いた。

「そうゆうこった。それにお前達の再会に水差したくねぇ」

「そうか……」

「しぃが心配してるようならこう言ってやれ。こっちに来ても、もうお前の敵はいないってな」

「あぁ! サンキューなフサ!」

「大した事じゃねぇよ。礼ならサザンに言いな」

「そうだな……」

オレはサザンに駆け寄った。

「サザン、ありが……」

オレが礼を言いかけると、サザンが人差し指を立て、オレの口を押さえて、

「その言葉は、君がしぃを無事に連れ帰る事ができたら受け取るよ」

「サザン……わかった。必ず連れてくる!」

「さぁ、行くんだギコ。しぃは今でも君に会いたがってるはずだ」

「ああ! 言ってくる!!」

オレはコアに飛び込む準備をした。深呼吸を繰り返し、高鳴る心臓を静めた。

「じゃぁみんな、行ってくる!」

みんなが声を揃えて言った。

「絶対にしぃを連れてこいよ!」

オレはコクリと頷き、コアに飛び込んだ。

     <NIGHTMARE CITY>

ヒュン! 

黄色い光が地面に降り立ち、黄色い猫が目を開けた。

オレは辺りを見渡した。半壊したビルの数々、抉れた地面……様々な戦いの後が残っている。そしてここは紛れもなく、オレがモララーと戦った場所だ。

「ここは……そうだったな。ここしか残ってないんだ。って事はこの辺にしぃがいるはずだな…」

これで何度目だろうか。オレは桃色の体をした猫を探した。でも、範囲が狭いためか、今度は比較的早く見つかり、崖の近くで座っていたのを見つけた。

この辺は何か剣で思いっきり斬りつけたような傷が地面にあった。おそらくこれもあの戦いのせいだな。

心の準備はできた。これから声をかけるんだ。…って時なのに、何故か声が出ない。目もぼやけてきた。

(あれ…? なんで……)

ポタポタと水滴が地面に落ちた。目がぼやけていたので目をこすった。

(…? 指が濡れちまった……)

水滴はいまだに地面に落ち続ける。

頬に温もりを感じた。

(泣いてるのか……まったく、ここ何日かで何回も泣いちまってるぜ……今は悲しくなんて無いのに……嬉しいから泣いてるのか。いや、違う……この感情はもう嬉しいなんてもんじゃないよな……しぃ、会いたかった…良かった……また…巡り逢えた……!)

オレは力を振り絞って声を出した。

「しぃ!!!」

しぃの耳がピクリと動いた。辺りをキョロキョロ見渡して、後ろを向いてオレを見つけた。

「しぃ……」

でも、しぃは嬉しがるところか、驚きもせずに、ただ呆然として、どこか不思議そうにオレを見ながら、その口を開いた。

「えっと……しぃってあたしの事??」

「え……何言ってるんだ、当たり前だろう??」

「そう……それじゃぁ君は……誰??」

「え……な……」

「あ、ゴメンね。あたし、実は…何も思い出せないの…」

オレは言葉を失った。涙も気付かぬ間に止まっていた。信じられなかった。

         信じたくなかった。

そんな……やっと会えたのに……忘れた……?この街が何なのかも、オレと会った事も……全部……忘れちまったってのかよ……


<第三話>~蘇る記憶~

「あの……あたしの事、知ってる限りで良いから教えてくれない? 何か思い出すかもしれないし」

「そうだな……わかった。少し辛い話になるかも知れないけど…聞いてくれるか?」

しぃは少し不安そうに、

「うん……自分が何だとしても、受け入れる覚悟はできてるよ」

「わかった。実は、この街はな……」

オレは話し始めた。この街が何なのか、オレの街で何が起きたか、何故オレがこの街に来たか。
オレとしぃが出会った事、友達になった事も。そして管理AIが何をしたか、しぃも管理AIだった事も話して、それをオレに黙っていた事も、オレがしぃを守りきれなかった事も話した。
でも……しぃがオレに好きだと言った事だけは、どうしても言えなかった。

「そっか…あたしは…そんな酷い事する人たちの仲間だったんだね……」

「仲間と言ってもしぃは何も悪さをしてないんだぞ? お前は悪くないんだ。悪いのは……管理AIと……オレだ」

「ありがと……でも、ギコ君は悪くないと思うな」

「いや、でも……」

「結局あたしは生きてたんだから! ギコ君に責任は一つも無いはずだよ?」

「そうだな・・ありがとう」

(しぃに記憶があってもこう言われただろうな。)

そう思うと、少し悲しくなってきた。でも…ホントに悲しいのはしぃの方だよな……記憶が無いってどんな気持ちなんだろうな……今、オレが来るまでしぃの頭の中は真っ白で、誰も知らないし、何の思い出も無かったんだ。それって絶対……寂しいよな……

「よし! 決めた!」

「え?? 何を?」

「しぃ、オレの街に来ないか?」

「え…でも…行ったって迷惑なだけだし……」

「誰が迷惑するんだよ??」

「ギコ君は……迷惑じゃないの??」

「誘ってる張本人が迷惑する訳ねぇだろ!」

「でも、あたしの事を敵って思ってる人もいる訳だし…それに、住む所も無いし…」

「大丈夫だよ! お前を敵なんていう奴は、もう一人もいない! 住まいなら泊めてくれる知り合いがいっぱいいるし、なんならオレん家に来てもいい!」

「でも、やっぱり……」

「あ~~でもでもうるせぇなゴルァ! 来たらいいんだよ! 戦いはもう終わってるんだ! 今はみんなしぃの友達だ!」

しぃが目を丸くして、少し泣きそうになった。

(やべ、強く言いすぎたかな……?)

「ホントに良いの……?」

心配してるしぃにとって、半ば強引に言われたのが逆に嬉しかったようだ。

「ああ。オレも、記憶なんかなくてもしぃの友達だからな! 思い出なんてこれから作れば良い! 悲しい時や辛い時はずっと傍にいてやる! 楽しい時は二人で大声だして笑い合おう! 絶対楽しいぜ!!」

しぃがポロポロ涙をこぼし始めた。そして、目に掌をあてて行った。

「ありがとう……」

「さ、行こう!」

オレはしぃに手を差し伸べた。

「うん!」

しぃはオレの手を取った。

(ギコ君の手…温かいな…でも、この温もりどこかで……)

(しぃと手を繋ぐのも久しぶりだな…)

なんて思ってると、しぃに変化があった。

(ドクン…)
「あ……」

「? どうしたしぃ?」

「何か…何か思い出せそう……」

「え……え!? ホントか!?」

「うん……ちょっと静かにしてて……」

そう言うと、しぃは頭に、オレと繋いでいない方の手をあてた。

オレは見守るしかない。祈る事しかできないけど……何か力になりたい。

オレはしぃの手を両手で握り締めた。

(声が……ギコ君の声が聞こえる……)

“オレが友達第一号だ!”
あ、ギコ君と初めてあった時だ。そっか、この時に友達になったんだっけ。

“このイツワリの街を出よう。必ず君を守るから”
うん…ずっと守ってくれたよね……

“良い管理AIもいるかもしれないだろ”
この言葉はすっごく優しい言葉だった。うれしかったなぁ……

“しぃ!オレは絶対にお前を守ってみせる!”
この時はギコ君が生きててホントに良かったって、あたしにとってギコ君は大切な人なんだなって思えた。

“すぐ戻るから……待ってろ。きっとキミを救い出してやる”
ホントに戻ってきてくれたんだよね。そしてあたしの心を救ってくれた。

“オレはお前が管理AIでも嫌いになったりしない!! ずっと友達だ!!!”
ぐすっ、なんだか泣きたくなってきちゃった……

“しぃ…やだよ…最後なんて言うなよ……”
ギコ君…あたしがいなくなるのをこんなに悲しく思ってくれたんだね…

“しぃーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!”
ギコ君………

「ギコ君!!!」

しぃが泣きながら、突然オレに抱きついてきた。

「んなっ……しぃ……?? 思い出したのか??」

真っ赤になりながらも、質問を投げかけた。

「うん…ぐすっ……全部思い出したよ………ありがとう、ギコ君……」

「良かった…しぃ…やっと……」

「やっとギコ君を見つけた…………」

「やっとしぃに会えた…………」

「「もう……離さない……!」」

唇と唇が重なった。言うまでも無く、オレもしぃも初めて。

顔を離し、目を合わせるとかなり恥ずかしくなってきた。

顔を真っ赤にして、涙目で、でも二人とも今までで一番の笑顔で笑いあった。

しぃが涙を拭いながら言った。

「あたし……もっとギコ君と二人で話したい……」

「じゃぁちょっと話してから行こっか」

オレとしぃは日が暮れるまで話した。ずっとこの幸せが続くと思うと、嬉しくてたまらなかった。

それから……しぃはこっちの街に来て、オレの家に住んでる。妹者かレモナさんとこに住めって言ったんだけど、オレと一緒が良いってきかねぇんだよな…
あと、戻ってきた時、フサ達は夜まで待ってた訳で、やっぱ怒られた。
そんで、しぃにはオレの街のある程度の事を教えて、今は一緒に学校に行ってる。しぃはいっつもオレに、「幸せだね」って言ってくれる。


だからオレはこの幸せな日常の為に、これからもしぃを守っていく。


<第四話>~次の戦い~

あれから一ヶ月が経った……

ここはオレ達の通っている学校。ここの校風は、服装は自由。名門校でもないごく平凡な中学校。学校自体は三階建てで、一クラス十八人ずつ。一学年二クラスで、それが三学年。全校生徒百八人の小さな学校だ。オレの席はしぃの横。後から二番目の一番左の窓際。んで、オレの後がフサで、フサの隣が兄者。こんな風に都合よくメンバーが集まった席配置。弟者と>>1とおにぎりは別のクラス。レモナさん達は高校に言ってて、妹者はもっと良い中学に行ってる。

二階の一番奥。ガヤガヤ騒いでいる三年B組の教室。そこにしぃが入っていった。

「おはよう。フサ君、兄者さん」

しぃが言うとフサは力が抜けた声であいさつを返した。

「お~~っす」

兄者はあいさつを返すと、質問を投げかけた。

「? ギコと一緒に来なかったのか?」

「途中までは一緒だったんだけど『忘れ物した!』って戻っちゃった」

そういうと兄者が鼻で笑い、フサは声を上げゲラゲラと笑った。

「ははは。ギコらしいな~~」

「しかし、あいつ間に合うのか?」

「う~~ん……わかんない。間に合うと良いんだけど……」

しぃの心配も虚しく、学校の鐘が鳴り、先生が入ってきて出席をとり始めた。

「はい、ゲームオーバ~~」

フサが言った。

「ギコ! ギコはいないのか!?」

先生の怒り混じりの質問にフサが答える。

「遅刻っす。そろそろ来る頃と思いますよ」

「そうか、全くあいつは……まぁいい」

全員の出席をとり終わり、一時限目が終わってもギコは来なかった。

「ギコ君遅いな~……もしかして何かあったんじゃ……」

しぃが心配そうに言った。

「大丈夫さ。ギコは何かあったってお前がいる限り死なんと思うぞ? なぁ、フサ」

兄者が言うと、フサは少し可笑しそうに、

「ま、そいつは間違いねぇな。なんたって、傷だらけで海に落ちてもしぃの為に生き延びた様な奴だかんな~」

「もう! 恥ずかしいからその話は出さないでよ!」

「良いじゃねぇか。ギコの数少ない武勇伝だぜ??」

「うんうん。その上、しぃが関ってないと何もできない情けない奴だからな」

フサと兄者がふざけていると、後に金髪の人影が現れた。

「勝手な事言ってんじゃねぇよ!!」

ギコがフサと兄者の頭にゲンコツをした。ゴツンという鈍い音が、二回続けてオレの耳に入ってきた。

「ってぇな! 冗談だよ冗談!」

フサが涙目で言う。

「ほう? 冗談には聞こえんかったが?」

「馬鹿だなぁ、ギコ。もう長年付き合ってるのに、フサやオレの冗談も見抜けんのか?」

兄者があきれたように言った。

「ったく、よくそんな言い訳がスラスラと出てくるもんだな」

オレは兄者の言い訳も聞く耳持たず、ドカッと自分の席に座った。

{ダメだ……ギコの奴、不機嫌モードに入っちまった。しぃ、何か話題代えてくれ}

フサが小声でしぃに頼むと、しぃは頷いてオレに話しかけた。

「ギコ君、随分遅かったけど何かあったの?」

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こらまた小声で兄者とフサが。そしてしぃにガッツポーズ。

「ん?? …そうだった! 忘れるとこだったぜ! 実はな、来る途中にサザンがいてよ、オレ達に話があるらしいんだ。でも、『しぃとフサと兄者はもう学校行ったぜ?』って言うと、『みんなが集まってる時に話したい。学校が終わったらコアの前に来てくれ』だとさ。かなり思いつめた顔してたから、『そんなに重要な話なんか?』ってオレが聞くと、『とても深刻なんだ。君達にもホントは話したく無い。巻き込む事になるからな。でも、私一人の力では…奴らは倒せないんだ』だってよ」

しばらく、三人は状況を把握できないでいたが、フサがかたくなに口を開いた。

「倒せないって事は……」

それをしぃが付け足すように言った。

「また……戦いが始まっちゃうの?」

そして、兄者が言った。

「奴ら……と言う事は、複数だな」

オレはコクリと頷き、言った。

「あいつ、ホントに深刻そうだった。多分、かなり厳しい戦いになるんだろうな。『ホントに戦う覚悟がある者だけ来て欲しい』って言ってたし・・」

「どうするよ?」

フサがみんなに聞いた。オレは最初に答えた。

「オレは行くぜ。あいつには恩があるし、大切な仲間なんだ」

続いて兄者が、

「だな。オレも行こう。フサ、お前自身はどうする?」

「行くに決まってんだろ? オレだけ逃げてどうすんだよ」

フサが言うと、オレはしぃに言った。

「しぃ、危ないからお前は……」

「あたしも行く! なんて言おうと行くからね!」

しぃが強い決意の目で言ったんで、オレは

「わかってるよ。お前はそういう奴だ。でも危険な戦いになる。だからお前は……オレが守る。絶対にオレの傍から離れるなよ」

「うん! 絶対に離れない!」

「ヒューヒュー! 熱いねぇお二人さん!」

フサがからかう様に言った。

「うるせぇなゴルァ!」

オレは怒りながら、しぃは黙りながら赤くなっていた。そこを兄者が仕切るように言った。

「よし! ともかくこれで決まりだな」

フサがいきなりキリッとした顔つきになって、

「あぁ、そうだな」

「てめぇは何いきなり真面目そうになってんだよゴルァ!」

「なんだと!? オレはいつでも真面目だろうが!」

オレがフサと言い争っているのを、兄者が爽やかに無視して言った。

「にしても、仲間の為に危険をおかすなんて……流石だよなオレら」

「くすっ、兄者さんのその台詞、久しぶりに聞いたな」

そこへ、

「おい、そこ!! もうとっくに授業は始まっとるのに、いつまでも騒いどるんじゃ無い!!!」

オレ、しぃ、フサ、兄者の四人に先生の怒号が響く。

「「「「す、すみません……」」」」

{おいフサ、てめぇのせいで怒られちまったじゃねぇか・・}

{何!? そりゃぁオレの台詞だ!}

{まだやってるの~?}

{どう考えてもお前ら二人のせいだろ……}

「何ぃ!? 兄者! お前も横で何か喋ってたろ!?」

「全くだ! オレとフサだけ悪者かゴルァ!!」

「オレはそんなに大きな声じゃなかったんだよ!」

「もう! 三人ともいい加減にしなよ!!」

教師は怒りのあまり、チョークを砕いて四人を指差した。

「四人とも廊下に立っとれーーーーー!!!!!」

「ゲ……」

「マジかよ……」

「あたしも~?」

「最悪だ……」

キーン コーン カーン コーーーン……

---放課後---

オレは疲れ果てて、大きなため息をついた。

「はぁ~~……今日は散々だったぜ……」

「誰かさんのおかげでね」

「悪かったよしぃ……」

「全く、いい加減にしろよギコ!」

「もうこれっきりにしてくれな」

フサと兄者が言う。

「お前らには言われたくねぇ!」

「もうケンカはやめてよ? コアに行くんでしょ、ギコ君」

しぃがオレを止めて、別の話題を振った。どうもこいつはこういったのが得意だ。

「そうだった! おい、急ごう!」

オレ達は校門を出た。

そしてコアに向かう途中、フサが気付いたように言った。

「あ! おにぎり達はどうすんだ!?」

すると兄者が言った。

「休み時間の間に確認は取ってる。あいつらは来ない」

「なんで?」

「妹者と弟者は兄として危険な目に会わせたくない。おにぎりと>>1は戦いに不向きだろう?」

オレは聞いた。

「レモナさん達は?」

「……『不吉な空気が漂っているのは気付いてました。でも、私達は不必要な戦いは好まない。あなた達とは仲間と思ってますが、そのサザンという方とは会った事が無い。故に手助けする義理はありません』だそうだ」

「そうか……仕方ねぇな。もっともな理由だし」

「ねぇ……レモナさんって……誰なの?」

しぃの質問に、オレ達は顔を見合した。そして、フサが答えた。

「あぁ、しぃは知らねぇんだよな。一緒に街を救った仲間だ」

「へぇ、そうなんだ」

オレは大きな声で言った。

「なぁに! あの悪管理AIより強い奴なんていねぇさ! オレ達だけでサザンを手伝おうぜ!」

「ああ、もちろんだ!」

---それから数分後---

オレ達はコアに着いた。そこにサザンの姿があった。

「よっ、サザン」

「ギコ……来てくれたのか。ありがとう」

「久しぶりだな~」

「フサ、兄者も……」

「あたしも来たよ~」

「しぃ! ……君まで来てくれたのは嬉しいが、危険な戦いになるんだぞ?」

「大丈夫! ギコ君が絶対守ってくれるから!」

「そうか……みんな、恩に着る。君達の力があればどうにかなるかも知れない……ギコ、しぃ、フサ、兄者。……頼む。私に力を貸してくれ」

「な~に言ってんだよ! 仲間だろ? サザン!」

「最初からそのつもりだよ!」

「どんな敵でも、チャチャッとかたづけてやるよ!」

「オレの力でよければいくらでも貸すさ。さぁ、話してくれ。次の敵の事を」

「感謝する……では話すぞ。念を押すようだが……この話を聞くと後戻りはできない。しかし、君達の決意は伝わった。私も………覚悟を決めよう」

そしてオレ達はこの日、サザンの過去を知る事になる。でも、それは信じられない事で……まさか、あのモララーが……それに、クロノスって……?


<第五章>~サザンの過去・上~

「みんなに敵の事を話す前に、話さなければいけない事がある」

話さなきゃいけない? こんな重要な時に? それ以上に重要な話なのか? オレにはいくつかの疑問がとっさに浮かんだが、フサの一つの質問でわかった。

「こんな時に話すんなら、敵に関係してる事なんだな?」

サザンが首を縦にコクリと振る。

「私の……過去だ」

「「「「!?!?!?」」」」

オレ達は全員が目を丸くした。

そう言えばサザンの過去は聞いた事がない。聞こうともしなかったし、サザンも話そうとしなかったからな……でも、話そうとしてくれたって事は…それ程オレ達の事を信頼してくれたんだな……

「これは六年前の話だ・・・---

当時、この『DREAM CITY』にはいつ何時も行動を共にする三人の男がいた。赤い髪の男に青い髪、緑の髪をした男。この男達はある仕事を共にしていた。殺人以外の戦闘依頼ならなんでも受け付ける仕事だ。当時も今も、とても珍しい仕事でな、この仕事に名前なんて無いんだ。

この仕事は正に三人の天職だった。三人は次々と来る難儀な依頼を簡単にこなしていった。その内、この三人組にはある呼び名が着いた。色鮮やかな髪をした三人の戦士で、『色彩三戦士』。個人個人の呼び名もあった。

『赤髪のサザン』、『緑髪のクロノス』、そして・・・『青髪のモララー』。

---現在---

「「「「モララー!!??」」」」

オレ、しぃ、フサ、兄者はまた同時に驚いた。

「あいつもこの街の住人だったんか!?」

「モララーがサザンの仲間だったなんて……」

「何がどうなってんだ!!??」

「サザンの仲間だった奴がどうしてあんな悪になれるんだ??」

ギャーギャーとオレ達が騒いでいると、

「み、みんな……話は落ち着いて、最後まで聞いてくれ」

オレ達は静まり返った。オレはみんなを代表して謝罪した。

「あ、悪い……続けてくれ」

そう言うとサザンが話を続けた。

---六年前---

私達は自分達が一番強いと思っていた。そんな私達の元に一つの依頼が転がり込んできた。その依頼内容は・・・

     『この街と同じ電波を発する街の調査』

そう。わかったと思うが、これが『NIGHTMARE CITY』だ。夢と悪夢、正に表裏一体のこの二つの街はどうゆう関係なのか、この調査だった。普通の調査団体に頼めば良いのだが、危険を伴うため、私達に依頼したそうだ。

クロノスが目を輝かせて言った。

「面白そうじゃんか! 危険な臭いがプンプンする! 行ってみようぜ!?」

それにモララーが答えた。

「いつもいつも暑苦しい男だ。だが……行ってみる価値はある。サザン、貴様はどうする?」

その質問に私が答えた。

「お前達が行くのに私が行かない訳にもいかないだろ? それに、行ってみたいのは私も同じだ」

この一言ずつである程度わかると思うが、クロノスはリーダーシップがあり、情熱的な男で、モララーは冷静沈着で口は悪いが、根は仲間想いの男だった。

この二人と共にする日々は、充実していた。そして、大切だった。だが、そんな大切な日々が、依頼実行当日に崩れる事になるんだ……

---現在---

サザンが話を急にやめ、オレ達に言った。

「……もう一時間も話し続けたのか。一息つこう」

サザンも話し続けで疲れたと思い、オレは同意した。

「そうだな……少し休むか」

オレ達はこの後、サザン達にあの街で何があったのかを知る事になる。そしてそれを聞き終えた時に……次の戦いが始まる。


<第六章>~サザンの過去・下~

休憩して十分が経った。

「サザン、そろそろ良いか?」

「ん……ああ、そうだったな。ではそうしよう」

サザンは何か考え事をしているようだった。やっぱ昔話をしてると色々思い出すのかな……

「どうかしたの? ギコ君」

「へ? いや、なんでもないよ、しぃ。サザン、始めてくれ」

オレが言うとサザンはコクリと頷き、話を再開した。

---六年前---

依頼実行当日……私達は依頼者の元に向かった。

小一時間程歩くと依頼者の仕事場である、大きな研究所に着いた。

「でっけぇな~~……ってゆうかさ、研究所って事は…依頼者って科学者なのかな?」

「……は?」

クロノスの漏らした言葉にモララーは絶句した。私はクロノスに言った。

「クロノス、依頼の手紙が来た時は依頼内容だけでなく、ちゃんと差出人まで確認しろといつも言ってるのに……」

「ん? そんなん書いてたか?」

「貴様……もう帰れ」

「まぁまぁ、モララー。いつもの事ではないか」

「いつもの事だから愛想が尽きたんだ」

依頼の手紙が来ると、クロノスは依頼内容だけ見て受けるか受けないかを決めていた。この男は全ての依頼を受けたがな……

「別に良いじゃんか! 誰の依頼でも実行するのは俺らなんだ!」

「まあ……一理ある」

「よし、それじゃぁ中に入ろうか。クロノス、モララー」

私達は研究所のドアを開けた。中に入ればまるで別世界の様な所だった。前を見れば科学者。右を見ても左を見ても科学者だからな。人が千人は入るほど大きな建物だった。

中に入った私達に、一人の科学者が話しかけて来た。

「ようこそ。色彩三戦士様ですね? お待ちしておりました」

「と言う事は、あなたが依頼者ですね?」

そう私が聞くと、彼はこう答えた。

「そうですねぇ……正確に言えば、ここの科学者全員が依頼者です」

この言葉からわかる様に、その同じ電波の街と言うのは、ここの科学者全員を動かす様な問題だった。

「どうぞ、こちらです」

「どこへ?」

「博士の元に案内します」

博士はここの総責任者だった。

{俺こう言う堅苦しい雰囲気に苦手なんだよなぁ……}

{……俺もあまり得意じゃない}

道理でこの二人は口数が減るわけだ。難しい話が嫌いらしい。

一つの大きな直線を数分間歩くと、大きな部屋に到着した。

「博士。色彩三戦士様がお見えになられました」

「そうか、入れ」

部屋の中から声が聞こえた。その声を聞くと、科学者がカードキーでそのドアを開けた。

「どうぞ、お入り下さい」

中はコンピューターとファイル、ディスク等、科学者ならではの物が数多くあった。

「お待ちしておりました。私がここの総責任者の者です。ここの科学者には『博士』と呼ばれております。早速ですが、本題に入ってよろしいかな?」

「どうぞ。ここの二人は頭が悪いので、率直簡潔にお願いします」

「サザン、てめっ!!」

「まとめるな。この男よりはいくつかはマシだ」

「モララー! なんだそりゃ!」

「事実を述べたまでだ」

ギャーーギャーーと言い争いをしてる二人を後に、

「では博士、具体的な依頼内容を」

「い、良いんですか?」

「構いません」

「そうですか……では申し上げましょう……同じ電波を発する街。これは手紙に書きましたよね?」

「ええ」

「実はですが……同じ電波を発する街、これは絶対に有り得ません。同じ電波を発するなら、構造が全く同じでないとならない。だがそんな事は絶対に有り得ません。しかし実際にその街は今も尚、その電波を発している。以上を踏まえて考えられるのはただ一つ。この街は……」

急には信じられない話だったが、私は瞬時に理解した。そこで一つの答えに行き着いた。

「データの街……」

私がそう言うと博士が頷いた。

「御名答。そこで私達は、あなた方をデータの街にも転送できる装置を至急開発しました。その装置はこちらにあります。ついてきてください」

私達は更に奥へと進んだ。その部屋には大きな穴しかなかった。

「では飛び込んで下さい」

「「「……何?」」」

あまりにも唐突だったので何を言ったのかわからなかった。数秒すると全員理解した様だ。

「おうおうおう! いきなりなんだ飛び込めとは!」

「どけ、クロノス。この男……死にたいらしい」

「モララー、それはやり過ぎだ……博士、どうゆう事です?」

「サザンさん、こちらが先ほど言った装置です」

「装置!? この穴が……ですか?」

「はい。これに飛び込めばあの街に転送されるはずです。ただ……一つ問題が……」

「問題? なんです?」

「要領制限です。その人の力量が多いと、別の姿になってしまいます。そしてあなた方は……制限をかなりオーバーしている。つまり、強すぎるのです」

「はっはーん! 俺達が強いってか! わかってるじゃねぇか! 聞いたかモララー!? 強いだってよ!」

「当然だ。だが別の姿と言うのが気にかかる」

「同感だな。博士、別の姿とは?」

「入ってみないとわかりません」

「ま、とりあえず入ってみようぜ。サザン、モララー」

「「ああ」」

そうして私達は穴に飛び込んだ。気がつけばすでに猫の姿だった。それぞれ髪の色になっていた。クロノスは驚き、モララーは力が弱くなったのを嘆いていたその時、遠くに四つの光の玉が見えた。

私はそれを見つけ、未知の物だった為二人に言った。

「二人共、あれを見てみろ」

「「何だ?」」

その玉はそれぞれ、『黄』『青』『白』『黒』の色合いだった。

黄の玉ははじける様な、青の玉は静寂な、白の玉は聖なる気が漏れていた。だが黒の玉だけは……邪悪な感じがした。

「あれは危険だ……」

「モララー!? 汗だくじゃねぇか! そうしたんだ!?」

「クロノス……サザンもだ…どこか遠くへ行ってろ。黒の玉は…俺を呼んでいる」

モララーが言ったこの言葉。私はこの言葉を信用し、納得した。何故なら…

「私も……黄の玉が呼んでいる様な気がする……」

「お前もか? 実は俺もだ。どうも白の玉が俺を呼んでるようでならねぇ」

「そうか……貴様らもか。それなら話は早い。各々その光の前に行ってみろ。十中八九、何かおきるに違いない」

私達は息を呑んだ。一番心配なのはモララーだった。あの邪悪な光に触れて大丈夫なのか……

「行くぞ」

私達は少しづつ光の玉へと近づいた。最初に私が触れた。黄の光の玉は私の体へと入っていった。すると、体の中にとてつもない力を感じた。

「こ、これは……」

「力の覚醒か…」

「力の覚醒? 知ってるのかモララー」

「ああ……この世界のどこかには『自然の力』を封印したオーブがあると聞いた事がある……そして選ばれし者がその光に触れれば……力が覚醒する。察するに貴様の力は『雷』だな」

そう、はじける様な気の正体は『雷』の力だった。そしてこの時青のオーブだけが街の外へと飛び出していった。おそらく私の覚醒がキッカケで、適合者を探しに行ったのだろう。青のオーブは『水』の力。適合者はギコの父だ。

そして今度はクロノスが白のオーブに触れた。

「モララー……白は何の力だ?」

「おそらく……『光』だな」

事実、その時クロノスの体には聖なる気、オーラが出ていた。

そして次はモララー。だがモララーに触れさせるのは、あまり気は進まなかった。

「モララー、その黒いオーブは……」

「『闇』の力だ。この邪悪な気から見ても間違いない」

「な……だめだモララー! 闇なんて……そんなの力じゃない!」

クロノスがモララーを止めようとした。私も止めたのだが、モララーは聞かなかった。

「貴様らが覚醒したと言うのに、俺一人が弱いままじゃぁ情けねぇんだよ」

そう言ってモララーは黒のオーブに手を触れた。この時に……力尽くででも止めるべきだったんだ。

闇のオーブはモララーの中へ入っていった。

「ぐっ……」

「「モララー!!??」」

「が……あ……」

モララーの手が赤く光った。

「クロ…ノス……サ……ザン……どこか……遠くへ……逃げろ……」

「な、何を……」

モララーの歯を食いしばった音が聞こえる。それ程強く力を抑えているんだ。

モララーが全身の力を振り絞って叫んだ。

「早くしろ! これ以上は抑えきれん!! 貴様らに危害を加えてしまう前に!! 早く!!!」

モララーの言葉を聞いたサザンが私の手を掴んだ。

「サザン! 行こう!!」

「しかし……」

「あいつの覚悟を無駄にする気か!?」

そう言ったクロノスの口には血が垂れていた。クロノスも歯を食いしばって耐えているんだ。

「わかった……行こう」

「よし! モララー!! 待ってろよ!! どうにかしてみせるからな!!」

私達は走り出した。

「クロノス、どうするつもりなんだ?」

「とりあえず博士のとこに戻ろう。あんなに科学者がいりゃぁ解決策の一つは考えてくれんだろ」

そうして私達はコアを目指した。その途中に……

「う……が……あああああああああ!!!」

巨大な闇の力が空に放出された。空には大きな黒い球が現れた

それを見たクロノスが言った。

「な、なんだ!?」

闇の力が放出されたんだ。大方の予想はついた。

「おそらく……モララーが……」

「くっ……サザン! お前は先に戻れ! 俺はモララーの様子を見てくる!」

「な……しかし……」

「大丈夫だ! 絶対にそっちに行く!!」

私はこの時クロノスを信じた。

「……わかった! 必ず戻るんだぞ!」

「ああ!!」

そうしてクロノスはモララーの方へ向かった。

数分走って、私はコアにたどり着き、そこへ飛び込んだ。

だが……そこにはあの大きなコンピューター室しか残されていなかった。後は跡形も無く……消し飛んでいた。コアの部屋は、その穴だけどこか別の場所へ飛ばされたらしい。

そしてここからはクロノスから聞いた話だ……

「モララー! 平気か!?」

クロノスがそこに着くと、ここの住人だった者達が集まっていたらしい。

「な、何だ今のは!?」

「俺は見た! そこの紫の猫が空に何か黒い物を!!」

「あれか……? 『ダークマター』って言うんだよ。次元の消去だ」

「なんだと~~? いきなり意味わからんことほざきやがって!」

「この辺じゃぁ見ん顔だな! どこから来た!?」

「どこから……?教える必要は無い。その代わりと言っては何だが…貴様らの行き先は教えてやろう」

「あ~~~?」

「あの世だ」

突然モララーの手から赤い剣が出て、その剣でその場にいたクロノス以外の人達を一瞬にして……殺した。

(な……モララーが……殺した……のか?)

「フン。骨のある奴はいないのか」

モララーがそう言うと、白い猫と赤い猫。それと白で胴の長い猫が三人が騒ぎを聞きつけて来た。

「な、何モナこれは!?」

「アヒャ!? お前らどうしたんだ!?」

「ハァハァ……お前がやったのか!?」
「ハァハァ……許さん!!」
「お前らハァハァうるさいぞ!! ハァハァ……」

「オマエモナー!!」

「くっくっく……お前らもそうなるか?」

この五人がかなり強かったらしく、モララーも苦戦した。

この五人は倒れたが、モララーも限界で、殺すまではいたらなかったらしい。

「貴様ら……なかなかの腕前だ……面白い、俺の部下になれ」

そう言うとモララーは、赤い剣から黒の小さな玉を出した。

「ダークマインド」

小さな玉は五人の体に入っていった。

「「「「「う……」」」」」

五人が立ち上がった。しかし、この五人には先ほどの正義の面影は無く、モララーと同じく邪悪な気を出していた。

「貴様らはこれから俺に従え。俺と共にこの街を支配するんだ」

「了解モナー」

「アヒャ! 殺しまくってやるよ!」

「「「ハァハァ……色男……」」」

「俺達は『管理AI』だ。邪魔する者は誰であろうと殺せ。かつての……仲間でもだ!」

そう言った瞬間、モララーはクロノスを睨みつけた。

「もしくは貴様も悪に染まるか!? くらえ! ダークマインド!」

再び黒い玉が出てきた。クロノスも危険を感じたらしく、コアのある場所まで逃げた。

そしてコアの前……

「ふ~~ここまで来りゃ安し(ドクン)…ん……」

黒い玉はここまで追跡していて、遂にクロノスの体に入り込んでしまった。だがしかし、クロノスが光の適合者のためか、闇の効果は現れなかった。

「……ビ、ビックリした~~~! まさかここまで来てたとはな……まぁ何とも無くて安心だ。さてと……サザンに合流すっか」

そうしてクロノスは私のとこに戻ってきた。そこでこの部屋しか残ってないのを説明した。

おそらく、科学者達は全員……死んだという事も。

私達は対策を練った。だが…もはやその作戦はモララーを救うものではなく、管理AIを全滅させる為のものになっていた。

---現在---

…---まぁこう言ういきさつで、モララーはああなったと言う事だ」

「ギコ君……わかった?」

しぃがオレに問いかけ来た。オレは正直に白状した。

「全然。いきなり色んな事がわかりすぎて逆にわからん!」

すると兄者が、

「で、サザン。それと今度の敵の関係は……?」

「……クロノスにダークマインドが入った事は言ったよな?あの効果が……六年の時を経て現れた」

「何!?」

もちろんオレは驚いた。しぃもフサも兄者も驚いたようだった。

「それって……もしかして…」

「今度の敵は……」

「闇に染まった……」

サザンがコクリと頷いて、

「クロノスだ。皮肉なものだ……光の力を持つ者が闇に染まるとは」

オレはサザンに聞いてみた。

「で、でもよ、クロノスが闇に染まったからっていきなりサザンのとこに来るって事は無ぇだろ!?」

「いや………まずは適合者を狩りに来るはずだ。ここには適合者が三人いるからな」

「三人?サザンが『雷』でギコが『水』、他に誰がいるんだ?」

フサの言ったこの疑問はオレ達全員が思っていた事だった。そしてそれは、全員が思いもしなかった意外な答えだった。

「そうか…言ってなかったな。実は……しぃ、君は『風』の適合者だ」

「え!? あたしが!?」

やはり全員驚いた。でも、オレは少しだけ心配になってきた。

「じゃぁしぃも狙われてるのか!?」

「そんな……」

心配しているオレとしぃに、フサが言った。

「そ~んな心配そうな顔すんなって! ギコが守ってくれるんだろ!? なら安心じゃねぇか! なぁ兄者!」

「ああ、ギコなら必ずしぃを守るだろうな。なぁギコ!」

「! お、おう! 当たり前だ! しぃはオレが守る!」

「ギコ君……」

「なぁサザン。オレと兄者はお前たちみたく、今は武器が無いんだが……取りに行ったほうが良いか?」

「そうか……ギコは剣、しぃは弓、サザンも何かしら能力があるわけだしな…」

「ああ、取りに戻ったほうが良い。と、言いたい所だが……もう遅いみたいだ」

「え……?」

オレ達は振り向いた。そこには大柄な、緑髪の男が立っている。

誰だ……?

「クロノス……久しぶりだな」

な……こいつがクロノス!?

「よう、サザン。殺しに来たぜ。それとそこの金髪のガキと女。お前らも殺しといてやる!」

はぁ? こいつはいきなり来てガキだの殺すだのムカツク野郎だな……しぃには手を出させねぇ! こいつはオレがぶっ飛ばしてやる!


<第七章>~戦闘開始、炎地覚醒、宿敵蘇生~

クロノスはオレ達を一通り見渡して言った。

「三対一か……ちと辛いかな」

その言葉を聞いたフサが小声で言った。

{おい兄者……今あの野郎、オレ達を頭数に入れんかったぞ}

{必然だ。力の無いオレ達など、奴から見ればムシケラ同然だろう}

「ちっ、気にくわねぇな!」

フサが丸腰でクロノスに向かって行った。

「フサ!? 無茶だ! 武器も持たず……」

そんなサザンの忠告も虚しく、フサは拳を振りかぶった。

「おらーーー!」

「力も持たねぇ奴が、この戦いに手を出すんじゃねぇよ!」

クロノスは大きく上にジャンプした。フサの拳は空を切った。

クロノスの両手に力が集まるのがわかる。

「エレメントアーム! 光の斧・ライトアックス!」

クロノスの手には、白い斧がある。あれがあいつの武器だろう。

「とりあえず……お前から死ぬか!?」

「くっ……!!」

オレはフサの元へ走った。

「水の剣!」

オレの手に水の力が集まり、集約され剣となった。

光と水が交わった。オレはクロノスの斧を受け止めた。

「お前が……『アクアブレード』の使い手か」

「アクア……ブレード?」

「その武器の名前だよ」

嘘をついてるようには見えない。『アクアブレード』、それがこの剣の名前。

「ギコ……」

「フサ、下がってろ!」

「で、でもよ……」

「早くしろ!!!」

「う……」

フサが走り出した。

「あんな奴どうでも良い。今の狙いは……お前だ! 金髪!」

「へっ、お前がその斧をどけた瞬間、剣が喉にグサリだぜ?」

「どける…? 俺がか? バカいうな! 剣は斧に比べて軽いため、小回りが利くが……力なら斧が上だ!」

どんどんオレの剣が押されてきた。

(くそっ…もう耐えられない……!)

「ギコ君!!」

「!? しぃ!?」

しぃが弓を構えている。

「しぃ! やめろ! 標的がお前になっちまう!」

「あたしだって戦える! 守られてばかりじゃない!」

「…しぃ……」

オレはボソリと口にした。

「女。撃ってもいいが、このガキの寿命がちょっと伸びるだけだぜ?」

「あなたには誰も殺させない!」

「ほう、肝っ玉の座った女だ。おいガキ、どうする? このままじゃぁあの女が先に死ぬぜ?」

ピクッ

耳障りな台詞に、オレの耳が反応した。

「何……だと?」

グググ……

オレの剣がクロノスの斧を押し始めた。

(こ、このガキ……力が上がりやがった!)

オレは右足を上げ、あいつの腹に蹴りをくらわしてやった。

「ぐあっ!」

クロノスは五m(5メートル)程吹っ飛んだ。

オレはあいつの方に剣を向けて言った。

「おいクロノス! しぃに指一本でも触れみろ! 容赦しねぇぞ!」

「……それは俺の台詞だ。お前……楽には死ねないぜ!」

「フサ! ギコがやったぞ!」

兄者がフサに言った。フサは下を向いていて、地面には水で濡れて滲んだ部分が数箇所ある。

「……情けねぇ」

「…フサ……?」

「オレは……管理AIを一人も倒せなかった…今回も…足手まとい…なのか…?嫌だ! 足手まといはもう嫌だ……!」

「…フサ、オレもだ。面白いもんだ……ギコの奴、ちょっと前まではすぐにオレ達を頼ってきたのになぁ。今じゃぁオレ達が頼る側だ……」

「「力が……欲しい!」」

その話を聞いたサザンが二人の元に駆け寄り、言った。

「フサ、兄者。力を手に入れて……どうするつもりだ?」

その質問にフサが涙を拭い、答えた。

「オレは……街を救うだとか、そんな大それた事は考えてない。ましてや今回の戦いはいきさつが良くわからねぇ。……オレの答えは単純だ…

      オレはギコの力になりたい

次に兄者が。

「オレも知らない誰かの為なんてのは考えてない。でも……弟者と妹者がいつ危険にさらされるかわからない。その時は長男のオレが守らなきゃならないから…

      オレは兄弟を守れる力が欲しい

二人の答えを聞いたサザンが言った。

「…君達の決意は伝わった。君達なら……適合できるかもしれない」

「「適合って……まさか!?」」

サザンがコクリと頷いた。

「受け取れ。『地』と『炎』のオーブだ。この一ヶ月間、私はコアを探しに世界中を歩き回った。この二つがその収穫だ」

サザンが取り出したそのオーブは、『茶』と『赤』の色をしていた。

「どうだ……呼ばれてる感じはするか?」

「「ああ」」

「!? こんなにあっさり適合者が見つかるとは……」

「オレが『赤』って事は……兄者、お前は『茶』か」

「ああ…これでオレ達も…」

「「戦える!」」

二人はオーブに手を触れた。オーブは二人の中へ入っていった。

「よし、今から君達のエレメントでの戦い方を教えよう」

三人は数分話し合った後、

「よし、ギコの元へ行こう!」

サザンが言うと二人は頷き、オレのとこに来た㊠
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2007/11/10 (Sat)
=プロローグ=

ここは平和な街、Dreem city(夢の街)

そして公園で遊んでいる二人の少年、ギコとフサ。

ギコは平凡な少年。特徴といえば父が英雄ということ。しかしそのせいかギコには不思議な能力がある。

フサは鍛冶屋の息子。やんちゃでギコに頼られている存在。

突然遊んでいるギコが止まった。

「どうした??」

「嫌な予感が・・・」

ギコは空を見上げた。その瞬間目を丸くした。

「・・・フサ。」

「あん??」

「今何時だ??」

「1時だ。」

「昼の・・・だよな。」

「あたりめぇだろ!なにが言いてぇんだよ!?」

ギコ達は交互に言葉を言い交わす。ギコは太陽を指差した。

「な・・なんだありゃ・・・」

フサは目を丸くした。

「あれは皆概日食とかいうレベルじゃない。」

ギコが言う。二人は声をそろえ、

「太陽が黒くなってる。」



=第1章~悪夢の始まり~=

ギコが気付いたように、

「家族が危ない・・・!!」

「急ごう!!」

一斉に走り出した二人は公園をでて反対方向に向かって行った。

ギコは両親を心配しながら走る。

「父さん、母さん・・・!」

家に着いた瞬間にギコは凍りついた。

ギコ:「な・・・」

家まで真っ黒になっていた。

ギコはノックしても返事がない鍵のかかったドアを蹴破り、

「父さん!母さん!!無事か!!」

先に見つけたのは母親だった。しかしもう息絶えていた。

おびただしい数の傷と出血。当然といえば当然である。

「そんな・・・母さん・・・」

ギコは涙をこらえた。すぐ次の部屋で父親を見つけた。

「父さん!!」

父親は生きているのが不思議なくらいのやられかたである。

腹部に光る赤い剣が刺さったままである。

しかしギコはこの赤い剣はなんだ?誰がやった?という疑問は考えもせず、

「なんで父さんがやられるんだ!!父さん!!英雄だろ!?」

「ギコ、すまんな。あいつ相手に母さんを守りながら戦うには無理があった。」

「あいつ・・?敵を見たのか!?誰だ!?オレが敵をうつ!!」

涙目でギコが叫ぶ。

「誰かはわからん。この街の住人じゃなかった。そして・・・人間でもなかった。」

「人間じゃない?どうゆうことだ・・?」

ギコははっとした。

「父さん!!医者を呼ぶから待っててくれ!!」

「いや・・俺はもうだめだ。ギコ・・最後に俺の力をお前に授ける。それを受け取ってくれ。」

「いやだ!!諦めないでよ!!父さん!!」

「楽しかったぜ・・ギコ。」

ふっと父親が消え、青い光の粒が舞う。ギコはその光の1粒を握りしめた。

「父さん・・母さん・・・」

さっき我慢していた母親の分まで涙がこぼれ落ちてくる。

「うあああああああああああああああああああ!!」

拳を床にたたきつける。

「ギコ~~~どこだ~~!!」

フサがきたようだ。ギコは涙をふいて外に出る。

「オレの親や他の親もお前の親父に隣町まで避難させられたようだ。子供達はまだ町の中。お前の親は??」

「死んだ。殺された。」

「!!!!!!」

「フサ行こう。この街を救うんだ。悪夢から覚ますんだ。」

「あぁ。」

「このNIGHTMARE CITY(悪夢の街)を壊すんだ!!」



=第2章~真実~=

「まずこの街がどうゆう状況にあるか知っておく必要があるな。」

とギコ。

「流石んとこいくか。」

フサが返す。

二人は知り合いの流石兄弟を探した。が、全然見つからず、思わず愚痴をたれた。

「いないな~~」

「こっちだ。」

「へ??わかんねぇだろそんなの。」

ふたりはビルに入った。フサは驚いた。

「ホントにいたよ・・」

ギコが一人の男を呼ぶ。

「兄者。」

「!!ギコにフサ。久しぶりだな。」

そして彼の弟が、

「用件は察してる。この街のことだな。」

コク。二人は頷く。そしてある程度の事情をはなした。この街から英雄がいなくなった事、NIGHTMARE CITYを壊すための方法を聞きにきた事。

そして今度は彼らの妹が、

「まだ調査段階だけど、ある程度の事はわかったの。」

兄者が、

「1つ、この街を救うにはこの街にはいられない。」

ギコを疑問を口にした。

「なに??」

すると今度は弟者が、

「別世界にいかなければならない。」

続いて妹者。

「正確に言えばそこがホントのNIGHTMARE CITYよ。」

今度はフサが疑問を口に。

「そこに行くには??」

答えるのは兄者。

「この街のコアに入る。」

「どこにあるかは??」

と、ギコ。

弟者が得意げに、

「調査済みだ。条件もな。」

フサが不思議そうな顔をして、

「条件があるのか??」

「要領が大きい、つまり男は人間のままでは入れないの。」

今度は妹者が言う。

フサは気にせず、

「どんな姿でも良い。オレ達は救うんだ。早く連れてってくれ。」

「そう焦るな。問題はまだある。人間のままなら同等だが要領を抑えるその姿だと奴らに勝てないんだ。」

「奴ら??」

「管理AIだ。奴らは全部で5人。正確にいえば7人だ。」

二人は声を揃え、

「は???」

「8頭身という奴だけ詳細がわかったんだ。あいつだけ3人いる。」

「なるへそ。他は??」

「一切不明なの。」

「大体わかったか?」

「あぁ。」

「なら行くぞ!!」

5人はコアに向かった。そこへ・・・

「待ってくれ!!」

「!?」

そこには街の子供達がいた。

「僕達も行く。ギコ君のお父さんのおかげで僕らの親は助かったんだ。なら僕達もギコ君を助ける!!」

ギコは嬉しかった。でも、この戦いは危険だ。だから・・

「・・・危険だぞ?良いのか?」

「もちろん!!」

「なら行こう!」

兄者が注意事項を話した。

「みんな聞いてくれ!!これから全員違う場所に飛ばされる!!団体行動をする者達は集合場所を決めてくれ!!街の構造はこの街と同じだ!」

流石兄弟は、

「俺らはさっきのビルだ。」

フサがギコに問う。

「ギコ、俺達は??」

「単独行動をする。」

「!?」

「怖いのか??」

「へっ!!OK!!賛成だ!けど1つだけ約束しろ!」

「あぁ!絶対に生きて会おう!!」

二人はガシッと強く握手をした。

「みんな!!最後に1つ!!敵にあったらひたすら逃げてくれ!!そして街を救う方法だ!!管理AIを全員倒すかナイトメアプログラムをストップする!!オレらが実行するのは後者だ!!あっちに着いたらここを目指してくれ!!そしてまたコアに飛び込むとコントロールルームに行ける!!そこで電源を壊すんだ!!」

「おおーーーーー!!」

全員の気迫が伝わってくる。

「じゃあみんな!コアに飛び込むんだ!!」

みな一斉に飛び込んだ。

-新たなる英雄は旅立った。真実の光を求め-


=第3章~それぞれの状況~=

          <ギコ>

ギコは割れたガラスに写る自分の体を見つめた。黄色い体。服も着なくて良い体。そして・・・

「猫耳ぃ!!??」

軽快で動きやすそうな体である。しかしこの体では管理AIに勝てない。 

「さてと・・・ここはどの辺だ??見た事もねぇや。どっかの裏通りか?」

「ここはちょうど街の中心くらいだよ。」

「!?だれだ!?」

「あたしはしぃ。そうかまえないでよ。戦いは好きじゃないんだから。」

その子は見た目はピンク。後はそれほどオレと大差ない子だった。

ギコは構えを解いて話しかけた。

「そうか。で、街の中心って?」

「言った通り。ど真ん中だよ。えっと・・・」

「あ、オレはギコだ。さっき一緒にいたのにわからないのか??」

「さっき??」

二人とも不思議そうな顔をした。

「さっきはさっきだ。コアに飛び込んだ時。」

「コア?あたしはずっと1人だけど?」

(そっか、今日じゃなくても今日じゃなくてもこれたわけだしな・・・)

「どうかした??」

「いや、なんでもない。しぃはこの街から出たくないのか??」

「出たいよ。でもあたしは無理だから。」

「無理じゃない。オレが連れてってやる。」

「ギコ君じゃぁ、ううん。他の誰でも管理AIにはかてないわ。」

「管理AIを倒すだけが街を救う方法じゃない。プログラムをストップさせれば良いんだ。」

「え・・?そんな方法知らされてない・・・」

「オレは仲間から色んな事を聞いてる。だから一緒に行こう。」

「なんであなたは・・そんなにあたしに優しくしてくれるの?」

「人に優しく接するのに理由がいるのか??」

「わからない・・初めてだから。」

「そおか・・よし!!ならオレが友達第1号だ!!」

「え・・?」

「なんだ!?やなのかよ!」

オレは万遍の笑顔で言った。すると彼女は大きく首を横に振って

「ううん!!よろしくね!!ギコ君!」

「友達は君なんて付けなくて良いんだぞ!」

そういうとしぃは不器用な笑顔で俺の名を呼んだ。オレはこの時決めたんだ。

「しぃ。このイツワリの街を出よう。必ず君を守るから。」

オレが手を差し伸べるとしぃはその手を取った。

二人は走り出した。そしてトンネルに入った。

          <《1さん&オニギリ>

「オニギリ君、これからどうする?」

この少年は《1。金髪のハンサム。しかし臆病で弱く、ほぼ人間の姿でいられる。

「コアを目指さなきゃ。」

こっちはオニギリ。髪の生え方が海苔のようになっている。そのせいか、猫ではなくオニギリ姿になっている。

「歩いて行くの??マンドクセ。」

「じゃあそこのトラックを使おう。」

「運転できんの?」

「配達屋なんだから当たり前だろ。」

オニギリがエンジンをかける。ガソリンもあるようだ。

「僕は荷台にの乗るよ。後ろから敵が来るといけないし。」

「じゃあ行こう!この街のはるか南にある出口、『サウス・アウト』へ!」

二人がしばらく走っていると、

「オニギリ君!!後ろから変なのが3人来るよ!」

白い胴長の影が3つ。8頭身である。

「色男ハケーーン!」

「遊ぼうよ~~~」

「特別だからね~~」

体に合わない喋り方で《1はぞっとした。

「うわぁぁぁぁぁきもいよ~~!」

「そこの空きビンをなげるんだ!」

《1はすぐさまビンを拾い振りかぶった。

          [戦闘開始]

 

          <流石兄弟>

こいつらはすでに合流済み。ビルにいる。少し鼻が長い猫、兄者は緑で弟者が青。妹者は体が小さく要領が小さいので人間のまま。

「小さい兄者。大きい兄者は?」

妹者が言う。妹者は兄者を大きい兄者、弟者を小さい兄者と呼ぶ。

「兄者はこの街の状況把握と食料探しにバイクで外に出た。」

そう言った瞬間、弟者の携帯が鳴った。

「なんだ兄者。」

「すぐに戦闘準備を!敵に追われている!」

「!わかった!妹者!銃を3つ出しとけ。」

元の世界から銃を持参。

「兄者、今どこだ?」

「もう近い!ピシャリ5分後に入るからな!」

「了解!」

「何コソコソしている?アヒャ」

          管理AI;つー

「光短剣!」

つーの手から光る短剣があらわれた。

「なんだありゃ!」

「これは管理AIだけが許された力、光器さ!アヒャ」

短剣を投げる。兄者の携帯に刺さった。

「くそっ!・・!着いた。」

「妹者時間だ。」

パリーーン!ガラスを割って兄者が入ってきた。

「OK。時間ピッタリだ兄者。流石だな。」

「やれ!!!」

妹者が発砲した。

つーは短剣で防ぐ。

「いきなり穏やかじゃないね。アヒャ」

          [戦闘開始]

          <フサ>

「ここは駅か。」

茶色いフサフサの犬。フサである。

「運が良いな。地下なら敵に見つからんし『サウス・アウト』まで最短距離で行ける。」

「それはどうモナー??」

「!敵か!?」

???:「YES。管理AIモナー。」

          管理AI;モナー

「ちい!」

フサは電車の上に飛び乗った。モナーも乗る。

「逃げようとしてもむだモナー。」

「逃げる?へっ、冗談きついぜ!」

フサは家から持ったきた剣を背中から取り出した。

「・・ちょっとは楽しめそうモナね。」

そして棒を持つような構えをして叫ぶ。

「光両棒!」

上と下、両方に叩くのが付いている棒がでてきた。

「ちっ、やっぱ普通じゃないな管理AIとかいうのは。でも約束したんだ。ギコ!絶対に勝つからな!」

フサはモナーに向かって走り出した。

          [戦闘開始]



ギコとしぃが長いトンネルに差し掛かった頃、高い建造物の屋上に紫の不吉な影。

「光魔赤大刀・・・」

 出したのは・・・・・・赤い剣。   

          管理AI;モララー(管理AI最強)



=第4章~最後の対戦組み合わせ~=

     <ギコ&しぃ>

「しぃ、大丈夫か?」

「うん・・」

「?どうかしたのか?」

「ギコ・・やっぱり、管理AIの事、許せないよね?」

オレはこの意外な質問に数秒答えられずにいた。

管理AIが許せないのか?違う。そうじゃない。

「いや、管理AIが許せないんじゃない。悪い奴がゆるせないんだ。」

「だって管理AIは・・」

「いい奴もいるかも知れないだろ。見てもないのに決めつけるのは良くない。」

「そっか・・じゃああたしは・・」

「え?」

しぃは下を向いたまま、

「ううん。なんでもない。」

オレはおかしく思ったけど光が見えたからそっちに気がいってしまった。

「しぃ、出口だ。」

そこには橋があった。そしてちょうど真ん中辺りを走ってるとき、前に影が写った。

オレは上を見上げた。そこにいたのは猫耳がある人。そう、オレ達のように。

色は紫。漆黒の色をした眼。手に持ってるのは・・・・・赤い剣。

ギコは目を疑った。

(赤い剣・・・・!?まさか!!?)

モララーがギコに剣を振り被り、

「死ね!!」

そのまま剣を地面に叩きつけた。オレはしぃを抱えて身をかわす。

コンクリがえぐれる。砂煙が舞う。オレは近くにあった道路標識を手に取る。

視界が晴れて、奴の姿も見えてきた。もう1度確認をした。

    -----やっぱ持ってやがるな-----

「お前か・・お前なのか・・!」

「なにをブツブツ言っている!」

オレの中で何かが吹っ切れた。管理AI?関係ない。こいつは父さんを殺した。だから、

「お前は許さねぇ!絶対にぶっ飛ばしてやる!!」

「オレを?ふっ、面白い。」

独特な突きの構えを取り、

「楽しませてくれよ。」

オレの構えは見よう見まねの父さんの構え。

「行くぞ!」

「来い・・・」

     [戦闘開始]



=第5章~人間AAVS管理AI全面衝突~=

     <《1&オニギリ>

「オニギリ君!あいつら追いついてきてるよ~!スピードアップ~~!」

「とっくに最高速度だよ!あいつらなんて速さだ!このままだと捕まる!どこか建物の中に逃げ込もう!」

二人はビルの中にトラックごと突っ込んだ。そして車を降りて逃げ続けた。

「逃がさないよ~!」

「どこまでも追い続けてやる!」

「《1さんの為なら~!」

「うわあぁ~~~~!キモイよぉ!」

二人は逃げ続けたがついに屋上で追い詰められた---

     <流石兄弟>

「アヒャ!そんな弾当たらないよ!」

兄者は必死に銃で抵抗しているが、かすりもしない。

「くっ、なんて素早い奴だ!」

すると弟者が思いもよらぬ事を言い放った。

「捕まえようか?」

「!?できるのか?・・なら頼む。」

するとなにやら弟者は妹者と話し合った。

「なにをこそこそしてるんだい!?アヒャ!」

つーが短剣を投げると兄者がまた撃ち落した。

「今にわかるさ。まぁゆっくりさせてやってくれ。
(あいつ一体何を・・?)」

「・・なるほど。確かにそれならいけそうね。」

「よし!なら作戦スタートだ!」

すると弟者はアルコール類の入ったビンを手に取り、つーに投げつけた。

「妹者!やれ!」

妹者が銃を構えた。

「!なるほど!!」

兄者は理解したようだ。

「アヒャ?」

パリーーン、パリーーン、パリーーン!

妹者がビンを、つーの前、右、左で打ち抜いた。

「アヒャ!そこ狙ってるんだい!?」

「狙い通りよ!」

「チェックメイトだ!」

兄者はそのアルコール類の液体に火をつけた。

「アヒャ!あついねぇ!!」

つーは否応なく壁に追い詰められる。

「言ったとおり、捕まえたぞ!」

弟者はつーに向かって手榴弾を投げた。

ドーーーーーーーーーーーーーーン!!

小規模な爆発がおきた。

「勝ったの・・・?」

「そうだ。にしても管理AIに勝つなんて・・」

「流石だよなオレら。」

3人が勝利の余韻にひたっていると、

「アヒャ!お前らごときに負ける管理AIがいるなら見てみたいね!!」

「!?!?!?!?」

バッと後ろを振り向く。

「そんな・・なんで・・」

「アヒャ!壁を短剣で切り抜いて隣の部屋に非難したのさ!」

「そんな時間どこに・・!」

「オレほどの素早さがないとできないだろうねぇ!アヒャ!でも結構あせったよぉ!お前らはもう許さん!!アヒャヒャヒャヒャヒャヒャ!!!!!」

するとつーは無数の短剣を出した。

兄者はとっさに叫んだ。

「まずい!!!外に逃げろーーーー!」

短剣を投げたとき、3人はすでにそこにいない。

「逃がすか!アヒャ!」

     <フサ>

「ちっ!攻撃したり防いだり。もうこの展開にはあきたぜ!」

痺れを切らしたようにフサが大きく振り被るが、モナーの防御主体の武器に防がれる。

「同感モナー。そろそろ終わりにするモナー!」

二人はいったん離れ、構える。ピリピリとした空気が漂う。

「行くぞぉ!」

「どこからでもいいモナー!」

「そうかよ!・・なら!」

フサジャンプしてくるりと回転し、モナーの後ろをとる。

「もらった!」

フサが仕掛ける。しかしモナーはまるで読んでいたかのように後ろを向く。

(な・・動揺を一つも見せないだと!?)

カキーーン!フサの剣はモナーの武器が防いだ。

「残念ながらモナの勝ちモナー!」

モナーはフサの手を叩いた。

「がっ!」

剣が宙を舞う。

(しまっ・・・)

隙だらけの懐にモナーの大きな一撃が入る。

ドゴン!!!!!!!!

「ぐああぁぁーーーーーーーーーー!!!!」

フサは電車の一番先まで吹っ飛び、危うく落ちそうになるが端を掴み助かる。

「ぐっ・・」

「無様モナね。」

「へっ、何勝ったつもりでいやがる。」

「この状況でお前に何ができるモナー。」

「勝てはしないが・・まだお前に負けた訳じゃない!!!」

フサは手を離し電車から飛び降りた。

「!しまったモナー!」

電車はあっという間に過ぎていった。

「はぁはぁ・・確かに無様だな、オレ。」

落下した時になったようだ。フサの肩から出血が見られる。

「完璧に負けだぜ。でも、まだ生きてる。約束は続行中だぜ。ギコ。」

    <ギコ>

モララーの攻撃が続く。ギコも時折反撃を見せるがモララーに簡単に防がれまたモララーの攻撃。これの繰り返しである。

(強いな・・さすが管理AIというところか。でも・・)

ギコはおもいっきり標識を叩き付けた。

「これくらいじゃあまだまだオレは音を上げないぜ!」

(ほう・・こいつまだこれほどの力を・・)

チュイン!チリチリチリ・・

赤い火花が散る。

「だがもう終わりだ」

モララーがギコを上に跳ね上げた。

「ぐあっ!」

ギコは橋の上にある柱のような所に着地した。モララーもジャンプしてギコの反対側に着地した。

「本気を出す。覚悟をしろ。」

「負けるかよ!行くぞ!」

両者一斉に走り出した。

武器が交わる。オレはこの時しぃの言ってた事がわかった。

“誰も管理AIには勝てない”か・・全くだ。本気のこいつは格が違う。

モララーの赤い剣は標識をものともせずに貫いた。

(どうなったの?ギコ・・お願い。勝って!)

全く動かない両者が動いた。モララーがギコの方を向き、

「つまらん。これで終焉か・・」

ギコの胸から血が噴きだした。

「そんな・・ギコ~~~~~~~~~!」

ギコはズルリと身をくずし、海に落ちた。

バシャーーーン!!!・・・・・・・・


=第6章~復活、覚醒、決着~=

___________________________________

海の中、ギコが目を閉じて漂っている。

(あれからどれくらい経った・・?1時間か?それとも1分も経ってない?傷は・・痛みはあるけど頑張れば上まで行けそうだな。・・・・・・何を考えてるんだ?オレは・・上に行ったところでオレに何ができる?あいつに勝てるのか・・?)

ギコはモララーともう1度戦うのを想像しただけで身震いをした。

(無理だ・・!戦うどころか向き合う事すらできない!本気のあいつには誰も適わない!フサ・・ゴメンな・・再会・・できそうにねぇや・・)

「ったく!情けねぇ奴だな!ホントに俺の息子か!?」

(!?・・・父さん!?)

それはまぎれもなく父親の声だった。

「おうよ!お前があまりにも情けねぇから声だけ少し生き返ったぜ!」

(・・父さん。ゴメンな。敵、討てなかった・・)

「何終わりにしてやがる?」

(え・・・?)

「ホントに勝ちてぇなら今から行ってこいや!」

(・・行ったところでオレに何ができる・・?)

「ビビッてどうする!?街を救うんだろ!?このままで良いのか!?」

(英雄に・・?オレが?)

「そうだ!」

(そんな大それた事オレには・・)

「いつまでうじうじしてやがる!!お前は大事な約束を忘れてねぇか!?」

(覚えてるさ。フサには悪いと思・・)

「こんのバカ息子が!だから忘れてるっつってんだよ!お前この街に来て誰と出会った!?何を誓った!?」

(この街にきて・・?最初に・・自分が猫になってるからビックリして・・その後・・・・・!!!そうだった!しぃ!!!)

「よく思い出した。そこまでわかれば俺の言う事はもうない。先に天国に行ってるからな。お前の顔は当分見たくねぇ。だから・・」

(あぁ!絶対に・・)

「勝て!」

(勝つ!)

「じゃぁな・・」

ギコの頭の中から父親の意識が去った。

(父さん。サンキューな。それと・・ゴメンな、しぃ。お前を忘れるなんて・・今から行くからな。待っててくれ。)

ギコは決意をかためる。

(そうだ・・このまま終わって良いのか!?嘘つきのままで良いのか!?これが・・これが望んだ結末なのか!?)

ギコは眼を開いた。その瞳には今までにない決意がみなぎっている。

ギコは上まで飛躍した。

<・け・・・・・・・・・・・けそ・・・・・・・・え・・・・・じ・・の・・・・・が・を・・・いる!>

(!?)

<行け!たとえ弱気な自分に負けそうになっても、戦え!自分の信じた者の為に!運命が君を呼んでいる!>

(誰だ!?)

返事はない。

(・・運命が呼んでる?一体何の・・いや、今はそんな事どうでもいい!)

バシャーーーーーーーーン!!

黄色い影が水面から飛び出した。

「!?」

しぃは驚いた。

「・・ほう。」

モララーは驚いた、というより感心したようだった。

「しぃ!オレは絶対にお前を守ってみせる!」

「・・ギコ~~~~~~~~~・・」

しぃが涙目でそれでも嬉しそうに言う。

「そのためにも・・モララー!お前を倒す!」

飛び散った水が集約され剣ができた。ギコは強くそれを握る。

「!あの剣はあの男の・・」

「息子だよ!」

カーーン!剣と剣が強くぶつかる。

二人が距離を置く。

「あいつは強かった・・ふっ、面白くなってきた!」

モララーが構える。

(この威圧感・・間違いなく本気だ。でも怖くない。力がみなぎる!)

ギコも構える。

「お前を倒してしぃを守り抜く!」

バッ!動き出した。

カーーン!キーーーン!カキーーーーーーーン!剣対剣の激しい攻防。

しぃは大きく息を吸って、

「ギコーーーーーー!頑張れ~~~~~!」

「おぉう!」

カーーン!ギコの攻撃になった。

モララーが少し退く。

「くっ・・」

モララーがジャンプした。そして思いっきり振り下ろしてきた。

「死ね!」

キーーーーン!

ギコが防いだ。二人が大きく離れた。

「決着だ!」

一斉に走り出す。

「がああああああああああああああああああああああああああ!!!」

「はああああああああああああああああああああああああああ!!!」

スパーーーーーーン!!どちらかが斬られたようだ。

交差し、モララーが倒れた。

「ぐあっ・・!」

ギコの剣が消え、両手を天に突き上げた。

「しゃああああああ!」

「ギコ!」

しぃがギコの胸に飛び込んだ。

「しぃ・・」

真っ赤になってる。

「ありがとう・・ギコ。」

「約束を守っただけだよ。さぁ、早く行こう!」

「うん!」

二人は街を救うために走り出した。

でも・・しぃは知っていた。ギコは知るはずもなかった。

これから思いもよらぬ別れがある事を・・・


=第7章~別れ、そして脱出~=

ギコがモララーを倒したころ・・・・・

     <流石兄弟>

兄者が一息つき、

「ふぅ・・とりあえずここまでくりゃぁ安心な・・」

「だな・・」

「みんな無事かな・・」

「さぁな・・・ただオレ達もまだ無事とは言えない。」

「あぁ、ここもいつ奴に見つかるか・・」

三人が話し合ってると妹者がある事に気付いた。

「見て!太陽が沈む!」

「何!?」

「そりゃ沈むだろ。」

「違うぞ兄者!ここの太陽を見なかったのか!?」

「あぁ、黒かったな。でも、だからと言って沈まない訳じゃないだろ?」

「大きい兄者は話しを聞いてなかったの!?」

「ここは管理AIが全てを握っている!そしてここは時間と言うものがない!」

「何!?と言う事は・・管理AIに何かがあった!?」

「もしくは誰かがここを出ようとしている!」

「これで少しは希望が持てるもよ!」

同じ頃・・・

「---様、これは・・」

ギコとは違う、黄色い猫が言った。

「もしかして、誰かがここを・・」

今度は青い猫が言った。

「・・これからは私達も動きましょう。」

体は白く、道着のような物を着ていて、金の長い髪をした女の猫が言った。

「!?!?」

「新しい英雄が生まれようとしています。この機を逃してはいけない。
私達も協力し、街を救うのです。」

「・・了解!」

     <ギコ&しぃ>

「もうすぐ着くぞ、しぃ。」

「うん・・」

「? どうしたんだよ?さっきから元気ないぞ。」

「なんでもない・・大丈夫。」

「そうか・・」

しばらく走ると、『サウス・アウト』に着いた。

ギコはそのまま行こうとするが、なぜかしぃが立ち止まる。

「さぁ、早く行こう。」

「ありがとう。」

しぃは下を向いて、

「でも私は一緒に行けない・・」

「なにを・・」

「こないで!!」

ドゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴーーン・・

オレとしぃの間に広大な壁が現れた。壊したかった。越えたかった。

でもオレは何もできず、ただ見上げて立ちすくんでいた。

そして、いきなりオレの足元から、どんどん足場が消えていった。

壁の向こうからしぃの声がする。

「早く・・行きなさい・・・」

なんでだろう・・オレには・・しぃが泣いているのがわかった。そして・・・

しぃがどれくらいの覚悟でこうしたのかも。

オレは振り向いて走った。そしてもう振り向かなかった。

コアにが見えた。オレはコアに飛び込んだ。

「すぐ戻るから・・待ってろ。きっとキミを救い出してやる。」

(ゴメンねギコ・・私、隠してた事があるの・・初めての友達。私は始めて他人を好きになった。だから・・嫌われたくなかったの・・)

しぃの背後からモララーが追いついてきた。

「見つけたぞ・・奴はどこだ。言わなければ女とて容赦せんぞ。」

(こんな人達と同じなんて・・私自身嫌だけど、ギコはいってくれたよね・・
“管理AIのなかにも良い奴がいるかもしれないだろ”って。私すごく救われたよ。でも・・まだ怖かった。言えなくてホントにゴメンね。)

「自殺希望か?まぁ良い。そのままくたばれ!」

モララーがしぃに飛び掛った。

(もう一回会えたらちゃんと正直に言って謝るからね・・だから・・)

しぃは振り向き、手から光る弓矢を出した。

「何!?」

モララーは止まって、

「それは光器・・・貴様、管理AIか!?」

「ギコの邪魔はさせない!」

モララーは攻撃を止めた。

「なぜだ。なぜ管理AIが人間のかた持つ!?」

「争いは嫌いだからよ!あなた達とギコ達のどっちが正しいかくらいわかる!」

「・・・」

ガガ・・ガ・・・ピ・・・ガピ・・

モララーに通信が入ったようだ。

「モナーか、何だ。」

「誰かがこの街から出た事について会議をするらしいモナー。」

「なに!街から!?・・わかった。戦闘可能な管理AI全員集めろ。」

「8頭身は今良い所だから邪魔するな、らしいモナー。」

「戦闘中のAIはいい。」

「わかったモナー。」

ピッ、ツーツーツー・・

通信が切れたようだ。

「無論だが貴様は来なくていい。裏切り者排除の命令も下す。今度あった時は命がないと思え。」

モララーが姿を消した。

「・・これからまた一人か・・ギコ・・・」

     <ギコ>

「ここは・・」

人間の姿に戻ってる。

「てことは・・着いたみたいだな・・」

オレはある程度の状況を把握した。

「さてと・・さっさとナイトメアプログラムを壊してしぃを迎えに行くか。」

「待ってたよ・・」

「!! 誰だ!」

「驚かせてすまない。私の名前はサザン。ギコ君、キミを待っていた。」

「おれを??」(ていうかこの声どっかで・・)

ギコはハッとした。

「お前!運命がどうのこうのとか言ってた奴か!」

「よく覚えていてくれた。その通り、私は君に語りかけた。」

「なぁ、あれどうゆう事なんだ?」

「そのままさ。運命は君を呼んでいる。」

「だからなんでだよ?」

「理由は簡単さ。君が英雄の息子だからだ。」

「何!?お前何でそれを知っているんだ!?」

「私もDreem cityの住人だからさ。」

「!? お前あの街に住んでるのか!?」

「正確に言えば住んでた、だ。今はもうここに住んでいる。」

「お前ここにいるならなんでプログラムを壊さなかった!?」

「待ってたと言ったのはその事だ。私もそのつもりでここにきたがとんだ勘違いだったみたいだ。」

「言ってる意味がわかんねぇよ!どうゆう事だ?」

「・・・単刀直入に言おう。そんなプログラム存在しない。私達は管理AIに騙されたんだ。」

「な、なんだと!?・・でも、オレがその事を聞いたのは仲間からだぞ!?」

「奴らが簡単にバレルように流した情報なんだ。」

「そんな・・じゃぁどうすれば!!」

「わかってるだろう?」

「・・・!」

「ギコ、管理AIを倒せ。」

「やっとこさ一撃喰らわしたとこだぜ?倒すなんて・・」

「君ならできる。あの時の勇気があれば。」

「そうか・・そうだよな。」

「そうさ。」

「よし!一刻を争うんだ!そうと決まれば早く行こう!」

「私はここから君を転送しなければならない。行くのは君一人だ。」

「へ??」

「まぁここに住んでる身だ。いまさら引っ越すきもないさ。言って来い!ギコ!」

「・・わかった!行って来るぜ!」

「ギコ、オレはお前を限りなく人間に近くして君を転送する。」

「??」

「強くして送ると言う意味さ。でもいきなりは覚醒しない。なにかキッカケさえあれば君は管理AIなど足元にも及ばない力を手に入れる事ができる。」

「・・なんか良くわからんし、短い時間だったけど世話んなったなサザン。」

「英雄の手助けをしたまでだ。」

「そうか。街は任せろ。絶対に救う。」

「頼むぞ。転送に入る!動くなよ!」

(いろんな奴の想いが背中に乗っかっちまったな。)

「転送!行って来い!」

「全部貫き通してみせる!」

ヒュン!

「頼むぞ・・ギコ」



-CATASTROPHE-


=新章<第1章>~二人の再会、戦闘再開~=

空中に黄色い光が見え、そして地上に降り立った。そこには黄色い人型の猫がいた。

「しぃ・・戻ってきたぞ。」

ギコは再びこの街に舞い戻った。街を救うため、しぃを守るために。

(早くしぃを探さなきゃ・・今も危ない目にあってるかもしれない。)

ギコは走り出した。今までの事を思い出しながら。

-------------------

「さて、これからの計画だが・・いたって簡単だ。逆らう者は皆殺し。」

「そのしぃとか言う管理AIはどうするモナ?」

「こいつはオレがやる。そうすれば脱出者にも必ず会えるからな。」
(あいつには借りがあるからな。それと・・サザンの奴め、くだらん事吹き込んでなければいいが。)

「アヒャ!オレはあいつらをやるよ!」

「モナも逃がしてしまった奴がいるモナー。」

「アヒャ!無様だね!」

「オマエモナー。」

「アヒャっ!?知ってたのかい。」

「つー、あいつらは仲間の可能性があるモナー。」

「確かに。ならここは効率よくやった方が利口だね!アヒャ!」

「うん、一旦手を組むモナー。」

「なら各自、持ち場に戻れ。今度は逃がしたり殺し損ねると許さんからな。必ず殺すんだ。わかったな?」

「了解モナー。」

「もちろんだよ大将!アヒャ!」

「解散!」

そういうと管理AIは飛び散った。モララーはギコと同じくしぃの方向へ、モナーとつーは流石兄弟の方向へ。

-------------------

「くそっ!どこにいるんだよ!最初あったとこにもいなかったし・・・大体こんな大きな街中で人一人探すってのが無茶な話だぜ!」

そう愚痴りながらギコが走っていると右にピンクの人(猫)影が見えた。

「見つかったよ・・・」

・・・・・

その近くをフサが歩いていた。

「くっ、まだ傷が痛みやがる・・」

そしてフサはギコを見かけた。

(ギコ!良かった・・無事だったか・・ん?)

そしてフサは、しぃの存在に気付いた。

・・・・・

「しぃ・・」

「!?」

しぃはギコの方を向いた。

「ギ・・」

しぃがギコと言い掛けた瞬間、

「ギコーーーーーーーーーーーーーーー!」

フサが大声で叫んだ。二人はビックリしたようにフサの方を向いた。

「そいつから離れろ!!そいつは管理AIだ!!!!!!!」

「・・・・・へ?」

ギコはしぃの方を向いた。

「・・・・・」

しぃはうつむいたまま口を開かない。

(なんで何も言わないんだ?)

しぃが突然前を向いた。それにつられギコもその方向を向いた。そこには赤い剣を持った紫の猫。

ギコは、

「!! モララー!!」

「また会ったなギコ・・そして・・見つけたぞ、裏切り者。」

「何!?裏切り!?」

「横にいるやつのことだよ。」

しぃは立ち上がり、手からピンク色の光る弓矢をだした。

(な・・・そんな・・・しぃが・・しぃが管理AI!?)



<第2章>~動き出す戦況~

「お願い!帰って!戦いはしたくない!!」

「忘れたのか?今度会ったときは・・」

モララーが走り出した。

「命が無いと言っただろう!」

「うっ・・!!」

しぃが矢を射だした。

「ふん、そんな素人の矢などあたらんぞ?」

モララーがジャンプした。

「空中では身動きができないはずよ!」

しぃがモララーに向けて4、5本の矢を射った。

「確かに身動きはできない。だが手は動く!」

モララーは大きく剣を振った。

「赤魔層壁!」

そこに赤いバリアーのような物ができた。

矢は全て弾かれ地面に突き刺さった。

「お前の裏切りは死に値する!」

ギコは考え事をしていたが、正気に戻った。

(オレは・・何してる・・?)

-------------------

     <≫1&おにぎりVS8頭身>

「ぐ・・・生きてる・・?おにぎり君・・」

「あぁ・・こんな攻撃じゃ、死んでも死にきれないよ・・・」

「すごい言いようだね。その攻撃で死にかけてるのは誰だい?」  

「ハァハァ・・もっともっと・・」

「≫1さん痛めつけよう!」

「くっ・・キモイ・・よ・・」

「くらえ!」

「うああああぁぁぁぁ!」

二人が目をつむった瞬間、

「二人を守りなさい!」

女の声が聞こえた。その後に二人の男の声。

「承知!」

二人の男は鞭を弾いた。8頭身は驚いた。

「!???」

そこには青い猫と黄色い猫、そして道着を着た金髪の猫がいた。

「唐突ですが、今からあなた方を守ります。」

「でも・・管理AIは強いですよ?」

「それは知ってる。だが安心しろ。」

「それ以上にオレ達は強いよ。」

黄色い猫に続き、青い猫が行った。

「人数は3対3!行けますね!?

「無論!」

3人は走り出した。

「管理AIをなめるとは!」

「無謀な挑戦者だ!」

「死ね!」

ニダーが足で攻めたてると8頭身は手も足も出ず、ガードで手一杯。

「せい!」

8頭身は蹴りで吹っ飛んだ。

「うあああぁあ!」

腹に大きな一撃が入る。

「押忍!」・・


ッパは拳で攻める。しかし、

「てやっ!」

8頭身の打ち下ろしのパンチ。が、ッパは冷静にブロックする。

「やっ!」

8頭身のアゴに蹴りが直撃した。

「ガッ・・・」

8頭身は倒れこんだ。

「押忍!」・・


「くらえっ!」

鞭を振り回す。

「攻撃が大雑把ですよ。動きは最小限に。そして・・」

レモナは8頭身の攻撃を鮮やかにかわし懐に入った。

「はっ!!」

レモナのパンチで三人目の8頭身も吹っ飛び3人ともビルがら落ちていった。

「拳は熱く。基本ですよ。」

「あっというまに倒しちゃったね・・」

「・・ともかくあのキモイ奴らが消えたんだ!やった!」

-------------------

     <流石兄弟VSつー&モナー>

パン!パン!パン!

銃声が鳴り響く中、3対2の勝負が広がる。

「くっ・・そろそろ俺たちの銃弾も尽きるぞ・・」

「これからは短期決戦だな・・!」

「モナ達もそのつもりだモナー。つー!!」

「わかってるよ!アヒャヒャヒャヒャ!!」

つーは6本の短剣を投げつけた。

「うああああ!」

それぞれ肩、足などに傷を負った。

「アヒャヒャヒャヒャヒャヒャ!死になよ!!!」

つーは空中から妹者に短剣を刺そうとした。が、妹者が突然顔を上げた。

「!?」

「あなたがね!」

パーン!

銃弾はつーの脳天を貫いたようだ。

「やった!」

しかし、弟者が、

「モナーは・・?」

「ここだモナー。」

「え!?」

妹者は上を向く。モナーはつーの後ろに姿を隠していた。

「妹者ーーーーーーー!!!」

(そんな・・・)

「やっぱり君が死ぬモナー!!」

「きゃっ・・・!!」

妹者は頭を両手で覆いかぶさった。

ドガーーーーーーーーーーーーン!!!爆発音が鳴った。

「・・・・・・・・・あ、あれ??」

そこにはモナーが倒れていた。そして、白い光に包まれ消えていった。

「い、一体誰が・・」

3人は一斉に後ろを振り向いた。

そこにはバズーカ砲を持った避難民が数人いた。

「君達が・・?」

「僕達も何かの役に立ちたいからね。」

「感謝するわ。」

「ともかく・・俺達は勝った!」

「うん!」

「あぁ!」

「流石だよな俺ら!」

「また言ってる・・。」

-------------------

「くそっ!」

ギコは我を取り戻し、モララーに向かっていった。

「久しぶりだなギコ・・またお前と戦いたかったぞ。」

「お前を倒す。そして街の平和を取り戻す!」

バッ!!!

二人は弾かれるように離れた。

「しぃ!!!」

「!?」

「オレはお前が管理AIでも嫌いになったりしない!!ずっと友達だ!!!」

「!!・・・ギコ・・・」

「モララー!勝負だ!!」

「ふっ、やはり貴様との戦いが最もオレの勝負心を沸かせる・・!」

<<<最終決戦開始>>>

<第3章>~最悪の結末~

カーーン!

剣と剣が激しくぶつかる。ギコには自信があった。

「この剣さえあればどちらが強いかさっき証明されただろう!」

「一撃与えただけで勝ったつもりか?笑わせる!」

モララーがもの凄い速度で斬りつけるがギコは横に跳びかわした。そしてモララーは上にジャンプした。ギコはモララーをにらみ、怒鳴りつけた。

「勝負を長く楽しむなんて気はねぇぞ!」

ギコはビルの壁を利用してモララーの位置までジャンプした。

「くらえ!」

ズバッ!!ギコの斬撃がモララーにあたる。

「やった!」 

ギコが倒したつもりでいると、しぃが言った

「ギコ!後ろ!!」

「何!?」

ギコが後ろを振り向くとそこにはモララーがいた。

「残像だよ。」

(しまっ・・た。)

ドガン!!!今度はモララーの斬撃。

かろうじて剣で防いだが、空中なので下に吹っ飛んだ。

「ぐあああぁぁぁ!」

ボゴーーーーーー!

ギコが落ちた衝撃でコンクリが割れる。

「くっ・・」

ギコが消えた剣を再び出そうとするが、それよりも早くモララーが剣をギコに投げつけた。

「死ね!!」

(やられた!!!)

ギコが眼を堅く閉じた。

ザシュッ!!!剣が刺さる音。しかしギコに痛みは感じられない。

・・・生きてる?なんで・・

ギコが眼を開けた。そこには・・

「しぃ・・?なんでお前が・・?」

待て・・赤い剣はどこにいったんだ?・・・まさか・・

「まさか・・!!!しぃ!!!!!」

しぃの背中には無残にも、無情にも赤い剣が刺さっていた。

「しぃ!・・・なんで・・なんで・・」

しぃは優しく微笑んだ。

「良いんだよ・・ギコ・・・気にしなくても・・これは、償いと感謝の気持ちだから・・私の・・償いと感謝の気持ちだから・・」

ギコ:「そんな・・わからないよ・・なんだよそれ・・」

「償いは・・・今までギコを騙してきた事への償い・・管理AIだって言えなくて・・・嘘ついててごめんね・・」

いいんだ・・・

「そんなの・・いいんだよ・・」

「それと・・感謝してるから・・・」

「オレは・・お前に・・何もしてない・・何もできなかった。」

「ううん・・大切な事を教えてくれた・・友達って言ってくれて・・ありがとう・・・」

しぃを守るって誓ったのに・・・

「私・・・最後に・・人を好きになれて良かった・・」

守ってやれなかった・・・

「しぃ・・・やだよ・・・最後なんて言うなよ・・・」

「大好きだよ・・・ギコ・・・」

一番・・・愛しい人を・・・

フッとしぃはピンクの光になって消えていった。

「守れなかった・・・!」

瞳から涙が溢れてきた。

(オレは・・結局しぃに何をしてやれた・・?)

「彼女の最後の言葉を聞かなかったのか?」

(・・・サザン・・・)

ギコにはもう驚く気力も無かった。

「君は彼女に友達とは何か、人を愛するとは何かを教えてやったんだ。」

(しぃは・・オレのせいで死んだんだぞ・・)

「そうだな・・だがその事実を受け止めろ。そして戦え!勝つんだ!」

(今のオレには・・戦う意義が無い・・しぃを守るって・・誓ったのに・・)

「街を救うんじゃなかったのか?」

(街よりも・・オレにとってはしぃの方が大きいんだ、大事だったんだ・・!)

「だが、今ここで君が死んでしまうと彼女の死が無意味なものになるぞ?彼女は何のために君の盾になった?君の勝って欲しいから、君に街を救って欲しいからだろ!?」

(でも・・しぃはオレの為に盾になった・・これは・・オレの・・罪だ・・)

「そうだな・・ならその罪を償いにいけ。街を・・救いに行け。」

(!!・・そうだな・・それがオレにできる最大の償い・・だよな・・スマンな・・何度も・・お前に励ましてもらって・・)

「私の使命だからな・・英雄の誕生を見届けるのは・・さぁ、行け!」

(まだ・・間に合うかな・・まだ・・償えるかな・・)

「まだ間に合うはずだ!今なら、まだ!」

グッとギコはピンクの光の一粒を握りしめた。

モララーが不適な笑みを浮かべ、そして言った。

「死刑・・・完了。」

その瞬間、カッ!と光が辺り一面に広がった。

「な・・何だ・・?」

「ギコは覚醒したよ、モララー。」

「サザン!?貴様何をした!?」

「かつての戦友の名前を覚えてるとは、お前もなかなか情深いな。なぁに、直にわかるさ。ギコがどう変わったか。」

(しぃ・・償いはしてくる。でもオレはやっぱり・・許せない・・)

光の中から人間の手が見えた。そして人間の足、体が見えてきた。それは人間の世界でのギコ。違うのは猫耳、しっぽ。そして・・今までとは違う剣。

モララーは目を丸くした。

「あいつが持ってる剣、あの水の剣じゃない!あれは・・まさか・・・光器!?なぜ奴が管理AIの力を!?」

「しぃの力が宿ったのさ。あいつには他人の力を譲り受ける才能、能力がある。水の剣も本来ギコの父親の力だった。」

ギコが喋りだす。

「許せない・・・あいつよりも・・・しぃを守れなかったオレ自身が!!」

ドン!地面を蹴った音。

ギコが目にも止まらぬ速さでモララーを斬りつけた。

「ぐっ・・!?早い!?」

「うおおおおお!」

しぃ・・・

ガキーーーーン!モララーがどうにか止める。

モララー:「小癪な!」

ビュン!モララーが剣を振る。

ギコ:「甘い!」

君と出会えたから・・・

クルクルクル・・ギコが回転しながらモララーを飛び越えた。

モララー:「跳んだ!?後ろか!?」

ビュッ!モララーはすぐさま反応し、後ろを向いて剣を振る。

カキーーーン!ギコがまるで後ろに目でもあるように、剣を受け止めた。

「な・・後ろ向きでだと!?」

たとえ全てが嘘だったとしても俺は構わない、

「うああああああああああ!」

君が俺を愛してくれる限り、永遠に・・・

ドゴン!ガーーーン!ガキッ!ガチーーー!ギコの凄まじい斬撃の連続。モララーも全ては受けきれず、いくつかもらう。

「ぐあっ・・!バカな!!オレは管理AI最強だぞ!?」

「関係ない!オレはお前を倒して街の平和を取り戻す!これが今できる最大の償いだから!!!」

ズドーーーン!ギコの攻撃。

ギコが押し、二人は弾けたように崖から飛び出した。そして中心が空洞になっているビルに、天井のガラスを割り落ちていった。

「グ、ガ、ア・・」

モララーからバチバチっという電気のような物が漏れた。もう消えかかってるようだ。

でもオレは剣を構えた。トドメは・・オレが刺さないと意味が無いから。

「あああああああああああああああああああああああ!」

最後、オレの剣に光が集約した。オレは振り落とした。最後の一撃を。

ズドーーーーーーン!!!!!!!!!!

剣から光の柱が天まで伸び、光が街全体を包んだ。

街は消えた。オレは落ちている。この街から出られるようだ。

<最終章>~二人の別れと涙~

オレは目をつむっていた。でもオレの中からしぃが外に出るのがわかった。

「しぃ!!!」

ピンクの光の粒がしぃに形を変え、そしてしぃは人間の姿に変わった。ピンクの長い髪にワンピースを着ていて澄んだ瞳をしていた。

オレは手を伸ばした。しぃを街に連れて行きたいから?それもあるかもしれないけど、オレはその時ただ単にしぃを掴みたかった。

「しぃ・・」

しぃも手を伸ばした。同じ気持ちなのかな・・・

「ギコ・・」

掴みかけた時、しぃの手はパラパラとデータのように消え始めた。

「あぁ・・!」

しぃは最後なのに、笑顔でオレに、

「これからも・・ずっと友達だよね・・?」

しぃはあえて過去形にはしなかった。オレは涙が出そうになるのを必死に耐える。

「あぁ!当たり前だ!だから・・消えないでくれ・・」

「ありがとう・・ずっと愛してるからね、ギコ・・・」

今までで一番の笑顔で、でも最後に涙をこぼしてしぃは言った。

「嫌だ・・行くな・・!!!」

「さよなら・・」

しぃは・・・消えてしまった。しぃの一欠けらも見つからない。こればっかりはオレも耐えられなかった。

「しぃーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!!」

オレは泣きながら叫んでいた。・・・------------

そして気がつくとオレは元の街にいた。そこには見慣れた顔ぶれ、の中に少ししらない顔もいた。けど・・

「だよな・・いるわけないよな・・・」

2007/11/08 (Thu)
Nightmare City

曲も格好いいですよw

上の続編↓↓

Nightmare City -Catastrophe-

↓↓同じ人が作ってますv↓↓

ガラクタノカミサマ


どれも、良い奴ww
一度見るといいですよー。。
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* ILLUSTRATION BY nyao *